1,2本の歯をインプラントに

前歯の場合は、ピンポイントで適切な位置にインプラント体を埋入することが非常に重要です。 実は、インプラントをどの位置にどの方向に、どの深さに埋入するかによって見た目の結果が違ってきます。そのため、手術前に埋入位置のシミュレーションを行い、最適な位置に埋入できるよう調整いたします。前歯は、計画的に正確に治療を進めないと満足した仕上がりにはなりません。

奥歯の場合は、見た目も大切ですが、よく噛める、丈夫である、清掃しやすいことが重要です。骨の状態は患者さんごとに違いますので、的確な診断、技術が必要となります。奥歯は生えている位置がお口の奥で、ほとんど見た目は気になりません。しかし、硬いものを粉砕しないといけませんから、丈夫である必要があります。
当院では、インプラントの人工歯に主にジルコニアを使用しております。ジルコニアは、セラミックに分類されていますが非常に硬く、現代では加工もスムーズにできるようになっています。表面が滑沢で汚れやプラークが付きにくく非常に優れた材料です。

複数の歯をインプラントに

奥歯を含めて複数の歯を失ってしまった場合は、人工の歯を両隣のインプラントで支えるかたちでインプラントを埋入します。
インプラントは時間の経過とともに顎の骨と結合するため、歯を支える力は健康な歯と変わりません。そのため、複数のインプラントを埋入しても違和感がなく、健康な歯と同じ感覚で食事や会話ができます。
歯を失った時、特に問題はないと考え放置してしまう方がいらっしゃいますが、実際には失われた歯の部分を直ちに治療しないと、顎の骨が収縮していってしまいます。場合によっては顔の形が変わり、シワの原因となることもあります。特に連続した数本の歯が抜けている部位を放っておくと、歯の移動を促してしまうだけではなく、欠損部位の歯ぐきの内側にある骨が徐々に後退してしまいます。なるべく早めにご相談いただくことをおすすめします。

すべての歯をインプラントに

ほぼすべての歯を失ってしまった場合、従来は総入れ歯で対応していました。現在では、下顎4本、上顎4~6本のインプラントで手術当日からフルブリッジをしっかり固定して、噛む機能と審美性を即日に回復出来るインプラント「オールオンフォー」で、固定式で健康な歯に近い生活を実現できるようになりました。
あごの骨にしっかりと固定されているため、硬い物も食べることができ、きちんと栄養が取れるようになるだけでなく、あごの骨の変形も少なく外出や会話も楽しめるようになります。
手術当日は、抜歯が必要な場合は抜歯を行い、インプラントを埋込みます。
静脈内鎮静法という麻酔をしてから行うため痛みは感じません。
インプラントを埋め込んだあと、少し休憩をしていただき、埋め込んだ数時間後には、仮の歯の装着が可能になります。

インプラントオーバーデンチャー

前述のオールオンフォーは、治療期間も比較的短いのですが費用が高額になります。
そこで、なるべく安価でオールオンフォーと似たような治療効果をご希望の患者様に、インプラントを活用した入れ歯治療「インプラントオーバーデンチャー」をご提案しています。
歯がないと顎の骨はやせてしまいます。そのため、総入れ歯だと年を追うごとに入れ歯と顎の骨の間に隙間が生じ、入れ歯が合わなくなったり、噛み合わせに変化が生じます。インプラントは、インプラント周囲の骨がやせるのを抑制しますので、インプラントオーバーデンチャーにすると、顎の骨と入れ歯の間に隙間が生じにくく、比較的長い間、噛みやすい状態が維持できます。インプラントによって、患者様の顎の骨も入れ歯も長持ちすることができます。スイス、ベルン大学のKollerによれば、インプラントオーバーデンチャーを10年以上使用した101例を調べ、その約80%の患者さんが同じ入れ歯を使用し続けていたと報告しています。インプラントを埋入することで、しっかりと入れ歯が固定され、長期的にも安定し、噛みやすい、安心できる治療法といえます。
オールオンフォーという治療法と比べ、インプラントの本数が少なく済むことで比較的安価に治療できる利点がありますが、入れ歯とインプラント埋入箇所の両方メンテナンスが不可欠であり、しっかりとケアし続けてあげる必要があります。